「は~い!そこのエロ本立ち読みしてるお兄さ~ん」
来た・・・
コンビニで恥ずかしげもなく『エロ本』なんて言葉を口にして近寄って来るなんて、まったくあいつときたら・・・
「ば~か!誰がエロ本なんて読んでるんだよ!」
ほら、やっぱりだ。ガキの頃から『おしとやか』なんて言葉は、まったく似合わない女。
「そりゃ決まってんぢゃん!あんたよ!あ・ん・た!」
ったく・・・コンビニで指差しかよ。
「あのさぁ、これのどこがエロいんだよ?」
「TOKYO WALKING?」
「ほら!これのどこがエロいんだよ!?」
どうだ!ざまぁみやがれ!
「・・・。エロいぢゃん」
「はぁ?」
何言ってんのこいつ?
本当にわ訳わかんないヤツだよな。
「だって、これで奏なんかとデートするとこなんかを下調べしてたんでしょ!?このエロス!!」
「お前なぁ・・・。一体どうしたらそんな思考に結び付くんだ?」
「だって、駈だよ?あんたの普段の行動見てたら普通に結びつくぢゃん!」
いつもながら何言っても無駄だな・・・。
「はいはい・・・」
「ちょっと!何処行くのよ?エロ本買わなくていいの?!」
またかよ!恥ずかしい・・・
「ちょっと!まったく人が呼んでるのに逃げるなんて、やっぱり疾しいからでしょ?!」
「お前なぁ・・・」
「ほらほら、素直に白状せい!今ならまだ罪は軽いぞ?」
「だからぁ、俺は奏なんかとデートなんてしません!」
大体、なんで俺と奏なんだよ?
本当、訳わからんよな・・・
「え?駈まさか知らないの?」
「はい?」
「え~!?こいつマジだよ!」
「だから何よ?」
「知りたい?」
「だから何?」
「知りたいの?」
「教えてくれよ!」
「高いよ!」
でた!高慢な笑み!
こいつの笑みときたら本当に・・・
「わぁったよ!だから教えてくれよ!」
結局、いつもこいつには頭があがらないんだよな・・・
「しょうがない。駈とは幼馴染の間柄だ。教えてやろう」
「おう。早く教えろよ」
「奏がねっ・・・。駈のこと狙ってるんだって」
「は?ええっ?!」
何それ?
初耳・・・
「あんた、マジで知らなかったのね!」
「知らねぇ・・・。っうか、なんで俺なの?」
「そんなこと私だって知らないわよ!大体、子供の頃からグズで泣き虫で逆上がりもできないこいつに奏が惚れちゃうなんて、この世の終わりよ!!」
「おいおい、それは言い過ぎぢゃね?」
ってか、こいつ何で怒ってるの?
「い~や!全然言い足りない!大体あんたは・・・」
「おいおい、『あんたは』って、俺は何もしてないぜ?」
「何かしてたら犯罪よ!犯罪!エッチ、痴漢、スケベ!!」
「はぁ~」
「ちょっと!何であんたが溜息なんかつくのよ!溜息つきたいのはこっちよ!」
「は?」
何言ってんの?こいつ?
「とにかく!駈!あんたは奏のこと好きなの?!」
「はいぃ?!」
藪から棒に何言ってんの?!
「だぁかぁらぁ!奏のこと好きなの?!」
「そんな・・・なぁ、柚ならわかってんだろ?俺の好みのタイプがどんなんかって」
「ってことは、奏のことは好きぢゃないのね?ね?ね?!」
「好き・・・ぢゃないよ」
って、何で俺はこんなこと言わされてるわけ?
「な~んだ!それならそうと初めっから言えばいいのに!」
「うっせいな・・・」
って、その笑顔は何?
「あ、駈の疑惑も晴れたし、情報提供料ってことでファミレス行こっ!」
「はいはい」
「ほらほら!早く早く!」
本当、こいつには頭あがらないよな・・・
「ほら!急げ!駈!!」
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